
大人のための文章教室
文章の書き方について、小説家である著者が、教えてくれる。
まず文章の長さであるが、短いものと長いものを組み合わせて、リズムを
作ることと説明している。
重要なことは短く書くこともポイント。
丁寧な文章の中で、しゃべくり文(会話調の文章)を少し取り入れるのが
親しみやすい文になるコツとも説明している。
文章の種類によって、書くポイントについては、
手紙は、前略、拝啓などの決まり型のものではなく、暑さ、寒さ、長雨、雪がふったなど
季節の様子を表すものを自分の文章で書くのだという。
「今年はじめて枝豆を食べて手がべたべたです。」など
企画書は、企画のよさを知ってから書く。書きより、企画自身がおもしろい、魅力があることが必要。
依頼書は、なぜ、あなたに依頼するかを書く。ポイントは相手のことを調べて、なぜ、
相手が必要かを訴えることだという。
随筆文の書き方というものもある。自分の体験にもとずいて、書くということがポイント。
私は、こういう体験をしてこう考えた。という構造がいいらしい。
いろんな文章をマネてきたパスティーシュ(文章の模倣によって、ユーモアや皮肉の味付けをした
文章)作家の著者がいうのだ。説得力がある。
大人のための文章教室
清水 義範 著
講談社 刊
2004/10/20 第一刷
205ページ
¥720E
目 次
はじめに
第一講 打つか、書くか 11
ワープロで文章は変るか/ワープロ文はぶっきらぼう/文章で人を動かす
第二講 とはいうものの接続詞 25
文章の特徴を真似る/接続詞は文章の論理構造を決定している/接続詞の種類/頭
中で使い、実際には使いすぎない
第三講 長短とテンマル 41
文の長さでリズムを/直列つなぎと並列つなぎ/重要なことは短く簡潔に/テンは読
む人のために打て
第四講 ですますであるのだ57
文体論にまどわされるな/(です・ます)と(だ・である)/(です・ます)には上下関係への意識が/言い切りの形は統一しよう
第五講 しゃべくり文ですの 73
くだけた調子の文章/(しゃべくり文)の親しみやすさ/真の言文一致は不可能/タメロにならないように
第六講 伝えたいこと伝わるように 89
ちやんと伝わることが第一の目的/伝わるための技巧は簡単ではない/伝えたいことがしぼってある
第七講 近寄ってはいけない文章 105
学者の論文は訛っている/公用文書は読んじゃダメ/新聞の文章もクセ者である/
(用語の訛り) に気をつけよう
第八講 手紙の書き方の裏技表技 121
メールは現代の短歌か/時候の挨拶の決まり型をやめよう/何を伝えるために書くのかを知れ/心をこめ、礼にかなった書き方を
第九講 実用文の書き方の裏技表技 139
企画書は企画のよさを知って書け/報告書は端的に明瞭に/依頼書はなぜあなたに
頼するかを書け/謝罪文は誠実に長く書く
第十講 紀行文の書き方の裏技表技 155
誰もが情報の発信者/見たもの+調べたデータ/心ゆれるエピソードを書く/あなたのその国への理解を書く
第十一講 随筆の書き方の裏技表技 171
随筆は書いてみたいものである/日本を代表する二大随筆/実体験にもとづいて書
く/自分の出し方をどうするか
第十二講 文章上達のあの手この手187
まず読んで、真似てみる/互いに読みあう仲間を持とう/一度長いものを書きあげてみる/カラオケ上達法と実はよく似ている 187
あとがき 204